誘発剤や注射を使わず、完全自然周期で採卵して体外受精を受けることになると、どれくらいのコストがかかるのか?その参考に、私が完全自然周期で体外受精スケジュールに入った時の費用をご紹介します。
生理中から採卵日が決定するまでの通院費用
生理開始日にクリニックに電話し、まず生理2日目に通院しました。
そこから採卵日が決定するまで、計6日通院しました。私は多嚢胞性卵巣で低温期が長く、なかなか主席卵胞が大きくならないため、こんなにかかってしまいましたが、生理周期が普通(28日周期)の方はもう少し少なくなるのではないかと思います。
では、ここから生理開始日を1日目として、保険適用と保険適用外に分けて6日分を一気に振り返ります。
いつものごとく超音波検査は月に2回以上の場合は2回目から保険適用外になり、日・祝の通院は時間外加算が入ります。
2日目
生理中のため尿検査はなく、保険適用外で超音波検査を受けました。
区分 | 保険点数 |
---|---|
再診料 | 73 |
外来管理加算 | 52 |
特定疾患療養管理料 | 225 |
保険適用分 自己負担額 計 1,050円
区分 | 単価 |
---|---|
超音波検査 | 1,500円 |
保険適用外 自己負担額 計 1,620円(税込)
11日目
尿検査、おりもの検査があり、月が変わったため超音波検査も保険適用となりました。
区分 | 保険点数 |
---|---|
再診料 | 73 |
特定疾患療養管理料 | 225 |
頚管粘液一般検査 | 75 |
子宮頚管粘液採取 | 40 |
尿検査判断料 | 34 |
超音波検査 | 530 |
膣洗浄 | 47 |
保険適用分 自己負担額 計 3,070円
13日目
尿検査、おりもの検査があり、超音波検査は今月2回目のため保険適用外となりました。診察日が休日にあたり時間外加算も付きました。
区分 | 保険点数 |
---|---|
再診料 | 73 |
特定疾患療養管理料 | 225 |
頚管粘液一般検査 | 75 |
子宮頚管粘液採取 | 40 |
黄体ホルモン定性(尿) | 72 |
膣洗浄 | 47 |
保険適用分 自己負担額 計 1,600円
区分 | 単価 |
---|---|
超音波検査 | 1,500円 |
時間外加算 | 2,000円 |
保険適用外 自己負担額 計 3,780円(税込)
15日目
尿検査、おりもの検査があり、超音波検査は今月3回目のため保険適用外となりました。
区分 | 保険点数 |
---|---|
再診料 | 73 |
特定疾患療養管理料 | 225 |
頚管粘液一般検査 | 75 |
子宮頚管粘液採取 | 40 |
黄体ホルモン定性(尿) | 72 |
膣洗浄 | 47 |
保険適用分 自己負担額 計 1,600円
区分 | 単価 |
---|---|
超音波検査 | 1,500円 |
保険適用外 自己負担額 計 1,620円(税込)
18日目
尿検査、おりもの検査があり、超音波検査は今月4回目のため保険適用外となりました。まだ卵胞が15mmでLHの陽性は出ず、病院指定の排卵検査薬を購入し翌日から自宅で検査することになりました。
区分 | 保険点数 |
---|---|
再診料 | 73 |
外来管理加算 | 52 |
黄体ホルモン定性(尿) | 72×2=144 |
保険適用分 自己負担額 計 810円
区分 | 単価 |
---|---|
超音波検査 | 1,500円 |
頚管粘液検査・採取料 | 540円 |
保険適用外 自己負担額 計 2,210円(税込)
21日目
卵胞が21mmとなりLHも陽性反応を示したため、血液検査がありました!そして、翌日に採卵することが決まりました。
区分 | 保険点数 |
---|---|
再診料 | 73 |
外来管理加算 | 52 |
黄体ホルモン定性(尿) | 72 |
保険適用分 自己負担額 計 590円
区分 | 単価 |
---|---|
超音波検査 | 1,500円 |
頚管粘液検査・採取料 | 540円 |
血液検査E2,P,LH | 5,000円 |
保険適用外 自己負担額 計 7,610円(税込)
ということで、この6日間で小計すると25,560円になりました。
誘発剤の費用も、注射の費用も要らなかったので、だいぶ安上がりに感じます。私が体外受精をする場合の最安値であることは違いありません。
採卵日にかかった費用
私は残念ながら完全自然周期では変性卵子しか採れず、体外受精がキャンセルになってしまい、採卵にかかった費用のみ支払いました。
かかった費用はこちら↓
区分 | 単価 |
---|---|
採卵準備 | 10,000円 |
採卵 | 100,000円 |
医療廃棄物処理・消耗品 | 12,000円 |
保険適用外 自己負担額 計 131,760円(税込)
実際に支払ったのはここまでですが、クリニックからそのまま体外受精に進んだ場合の費用は提示されていましたので、次のコーナーでご紹介します。
そのまま体外受精に進んだ場合の費用
もし完全自然周期で体外受精に使える卵が1個採れた場合、精子調整料と体外受精費用が加わります。
また、完全自然周期の場合は、初期培養で3日後に子宮に戻すか、長期培養して5日後に子宮に戻すか選択できます。
私がこの時に医師からおススメされたのは、値段が安い3日目で戻してみるプランでした。凍結しない新鮮胚移植の場合は3日目に戻しても、5日目に戻してもあまり成績に差がないからだそうです。
そして卵の培養がうまくいき、移植できる状態(胚)になれば、胚移植の費用を支払って子宮に戻すことになります。
かかる費用はこちら↓
区分 | 単価 |
---|---|
精子調整 | 10,000円 |
体外受精 | 40,000円 |
初期培養 | 10,000円(長期培養は+40,000円) |
胚移植 | 60,000円 |
医療廃棄物処理・消耗品 | 12,000円 |
保険適用外 自己負担額 計 132,000円(税込)
ということで、もし完全自然周期の採卵で移植まで実施した場合の費用は、
体外受精スケジュールに入ってからの通院費用 25,560円
+採卵費用 131,760円
+体外受精&移植費用 132,000円
合計 289,320円 です!
30万円以下で受けられるんです!これが体外受精の最低価格です!
体外受精30万円は最低価格、実際にはもっとかかってしまう
雑誌などで人工授精と体外受精のコストの比較などがあると「体外受精およそ30万円」と書かれていたりします。
たしかに、完全自然周期のような新鮮胚移植なら体外受精から移植までトータルしても30万円以下でできるため、自治体からの体外受精の助成金が初回30万円というのも、そういうことが根拠になっていると思われます。
けれども、完全自然周期でやってる患者がそんなに多いと思いますか?私はそうは思いません。
新鮮胚移植でも、誘発剤を使っている場合があり、誘発剤の種類も保険適用のものと保険適用外のものがあります。
なにより日本の体外受精の大半は、凍結胚盤胞移植で行われているのが現状です。
そのため、凍結費用などが加わり大多数の人が30万円以上かかってしまいます。
テレビの不妊治療特集で、タイミング、人工授精、体外受精の費用を比較し、「体外受精はおよそ30万円と一気に値段が上がります。」と解説しているのを見て、それは最低価格!一般的な価格はもっとする!とツッコミたくなりました。
テレビで言う体外受精の費用が、培養や移植の費用を除いた、純粋に体外受精当日にかかる費用ということであればまだ納得しますけれども(笑)
実際、私は最初の体外受精を受けたとき、純粋に体外受精にかかった費用が41万円にのぼり、採卵数が少なければ30万円くらいで収まったかなと思います。
その時の費用の詳細については、下記のブログでご紹介しています。