不妊治療

不妊治療で休職するには?プレマタハラで休職できた理由

仕事をしながら不妊治療をしていると、有給休暇が目減りしていきます。体外受精や顕微鏡受精を繰り返してもなかなか結果が出ないとき、いっそ休職したい!と思いませんか?不妊治療での休職が認められていない会社で、私がどうやって休職することができたのかを解説します。

不妊治療のための休職制度があるか?ないか?

少子化対策や女性活躍推進が進んでいる会社では、不妊治療のための休職制度を設けている場合があります。

しかし、残念ながら多くの企業はそんなに恵まれた環境ではありません。

私の勤めていた会社も普通の休職規定や産前産後休暇・育児休業制度などは整っていましたが、不妊治療については何も規定がありませんでした。

けれども、現実には同じ会社の中に不妊治療をしている女性社員は私以外にもいらっしゃいました。

その方も今後ステップアップを検討する可能性があり、仕事と通院の両立をどうしていくか悩んでおられる様子でした。

私は体外受精が2度うまくいかず、さらに不妊治療期間中に職場などで心無いプレマタハラを受け、ストレスで排卵が止まるような日もあり、いよいよ仕事と治療の両立に限界を感じはじめました。

でも、今後の収入のことや仕事内容を考えると辞めたくはありませんでした。

そこで、無給で良いから半年~1年休職ができないだろうか?と考え始めました。

おそらく社内で不妊治療を理由に休職した前列はありません。

ならば、既に一部の社員に不妊治療をカミングアウトしている私がトップバッターとして、不妊治療のための休職を認めてもらえないか会社に相談してみよう!と考えました。

奇しくも、私はダイバーシティの仕事にも関わっており、会社が障がい者雇用や子育てのための時短労働などを積極的に推進し、多様な人材の雇用や、多様な働き方に対する寛容な側面を感じていました。

まず最初に、不妊治療のための休暇制度がある他社事例をネットでくまなく調べました。

多くは無給で1年間の休職が認められていました。

不妊治療と特定せず、女性ならではの病気や症状で使える休暇制度がある会社、不妊治療中の社員に手当を出す会社などもありました。

また車のメーカーや、ベビー用品を扱う会社では、子育て世帯の増加による自社商品の売り上げアップが期待できるということから、休暇制度や金銭面での支援を手厚くしているという事例もありました。

このような少子化対策や女性活躍推進を考えた先進的な取り組みを社外に公開することは、企業イメージの向上になると思います。

また、リクルートの場では良い企業アピールになり、学生の応募が増え、優秀な女子学生を獲得することに繋がりそうだなと感じました。

今の時代、企業は単にモノやサービスを売るだけでなく、企業の理念やいかに社会に貢献するかという考え方もブランドイメージに影響します。

少子化という日本が置かれた課題に対して、具体的施策を考え、社内で制度を作ったり、社員が利用できるようにしたり、うまく外部へのアピールに使えば、現在働いている社員を大切にするだけでなく、会社が提供するサービスの付加価値を高めたり、未来の雇用にも繋がるはずです。

不妊治療では「休職が必要」の診断書を発行してもらえない

どんなに私が会社に良いプレゼンをしても、すぐには会社の制度は変わらないのは分かっていました。

仮に会社が私の話を聞いて、これからの時代に必要不可欠だから不妊治療のための休暇制度を整えよう!と動くきっかけを作れたとしても、ゼロから規定を作り、上程し、実際に認められ、制度が運用されるまで長い時間がかかります。

私は年齢的にもそんなに悠長に待てません。できるなら次の体外受精もさっさと受けたいと思っているくらいです。

そこで、私は会社の現在の休職規定の中にある「傷病以外に特別な理由があれば休職を認める。」という文言に注目していました。

その特別な理由に不妊治療をなんとか入れてもらえたら、規定を変えずにいけるかもしれないと考えていました。

休職をするには必ず医師の診断書が必要になるため、まずは診断書を発行してもらえるか不妊治療クリニックへ確認に行きました。

不妊治療クリニックの医師に「休職が必要と診断書を出してもらえないでしょうか?」とストレスの原因を説明しましたが、「申し訳ないけれど、不妊治療では休職が必要と書けない。配慮をしてあげて欲しいという不妊治療連絡カードを書くことはできるが、休職が必要とまでは書けない。実際に通院している患者さんの多くは有給休暇などを使って通院している。休職となると、傷病手当金のことが絡んでくる。傷病手当金は不妊治療は対象外になるため、ここでは休職が必要と書けない。」と言われました。

しかし、不妊治療中にメンタル不全になる患者さんはこれまでにもいたようで、医師は「あなたの今の状況は治療に良くない。ストレスはホルモンに影響する。以前、患者さんに紹介したことがある良い心療内科があるが、あなたの家からは遠いので、他に不妊治療に理解のある精神科か心療内科が近くにないか探しておく。あなたの症状なら心療内科に行けば診断書が出ると思うからそちらで相談してみて下さい。」と約束してくれました。

自分でも心療内科を探しましたが、予約制のところがほとんどで、評判が良いところは新規の患者さんは予約2カ月待ちなど、すぐに診てもらえないことが分かりました。

2日後、医師が通いやすい心療内科を提案して下さり、紹介状を発行してもらえました。

心療内科の診断書があれば休職できる

同じ週に、紹介状を持って初めて心療内科(精神科)へ行きました。

予約優先のため初診は2時間半待ちでしたが、その日中に対応してもらえるだけで神です!

心療内科の医師に説明するため、これまで会社に提出していたセクハラ案件の詳細文書のコピーや、会社からもらった謝罪文、半年間に及ぶ会社とのやり取りや眠れなかった日などをメモしたノートなど、用意できるものは全て持って行きました

説明することが多すぎて混乱したり、思い出して感情が乱れて言い忘れないよう、不安に感じていることなどもできるだけ書き出して、大事なところはマーカーで線を引き、涙で目が覆われても見落とさないようにして行きました。

待ち時間に、ストレスチェックのような心理テストをパソコンで100問以上をすることになりました。

その結果がどうなのかは教えてもらえませんでしたが、問診では私の話を聞いて下さり、診断書の後押しもあったと思いますが、状況は理解してもらえました。

そして医師から「不安障害・うつ状態」と診断されました。

自分自身、ここ最近のメンタルの不全は自覚していましたが、これまで精神的な疾患の経験がなく、これがうつ状態ということなのかと初めて分かりました。

「今は仕事から離れなさい、休職した方が良い。」と医師に言ってもらえた時、「業務の引き継ぎを考えて来月から休職にできませんか?」と相談したのですが、「症状が広がる可能性があるので今すぐ休職が必要。」となりました。

診断書は即発行されました。

まさかの、明日から会社に行けなくなるという展開です!

いや、でも、今考えるとこの医師の判断はさすがプロだと思います。

あの時無理をして会社に行っていたら、症状は改善されるどころか悪化していたと思います。

私の思い描いていたシナリオでは、診断書が発行されたら会社に不妊治療のための休職について相談しよう、どうしても不妊治療の休職が受け入れてもらえないのなら心療内科の診断書を出そうと思っていたのに、即休職の命が下ってしまったため、休職前の相談が叶わなくなってしまいました。

会社には取り急ぎメールでこのような診断書が出たこと伝え、後日会社へ診断書と休職届を送りました。

ちなみに、心療内科の医師からは不妊治療をしているということで、精神科の薬は出せない。薬を飲んでいないと治療をしていないと思われるので、2週間に1回状況を報告しに通院して下さい。でないと診断書が書けません。」と言われました。

不妊治療中は余計な薬を飲みたくないと思っていたのでちょうど良かったです。

そして、再診からは予約時間に行けばすぐに呼んでもらえ、待ち時間はありませんでした。

復職したかったのに退職へ追い込まれている気がする

休職してすぐは、やり残した仕事のことや、十分な引き継ぎできていないため同僚のことが心配でした。

また、休職に至った根本的な理由を自らの口で伝えられず、いきなり心療内科の診断書を一方的にポンと提出した感じになってしまったことに、心苦しさを抱いていました。

こうなってしまった経緯を説明したい、突然休みになってしまったことをお侘びしたい、不妊治療のための休暇について相談したかったという思いや、復職したい気持ちが強くありました。

診断書は休職1カ月という期限付きであったため、近いうちに面談をして欲しいという希望を所属長に伝え、休職期限がくる前に面談の場を設けてもらえました。

面談では、プレマタハラやパワハラの精神的ストレスによりこのような状態になってしまったこと、不妊治療の詳細、復職をしたいと思っていること、会社を辞めたくないこと、もう少し不妊治療を継続したいこと、不妊治療をするにあたりどれくらい通院しなければならないかなどをお話ししました。

そして、無給でも良いので不妊治療のために休職されてもらえませんか?規定にある休職の特別な理由に入りませんか?どうやったら入れてもらえますか?と可能性を探ってみました。

しかし、「あなたは今、メンタルで休んでいるのよ?妊活はそれが治ってからの話。」「特別かどうかは会社が決めること。」と言われシャットアウトでした。

おかげさまで、またメンタルが悪化しました。

会社としても、毎日社員から個別に色々な要望があがり、いちいち対応できないという事情があるのは分かります。

現実的に、不妊治療のための休職制度を作っている会社は、不妊治療を理由に退職する人が相次いだり、人手不足が叫ばれる世の中なので働き手を確保しておきたいという事情があったり、手塩にかけて育てて一人前になった女性社員が抜けることにより会社にとってマイナスになってしまうという危機感を持っているという理由も考えられます。

そういう意味では、私が勤めていた会社は求人を出せばたくさん応募がくるような企業なので、今はそこに注力するほど人材に困っていないのだと思います。

会社の規定では休職は診断書があれば最大8か月できることになっており、期限までに復職しなければ自然退職になります。

私の場合、うつ状態に波があり、普通に過ごせる日もあるのに、会社のことを思い出すと動悸がしてうつ状態になる繰り返しでした。

実は面談のあとも、会社とのやり取りの中で、あれ?これって退職に追い込まれてる?と思うような出来事があり、改善しかけてもまた悪化するという状況でした。

その結果メンタル不全や体調不良の連鎖が続き、職場に元気に戻れる精神状態まで回復せず、休職期限が近づくと、1ヶ月〜2ヶ月おきに休職延長の診断書が出続けました。

訴えるのが損か得か?

私はかなり会社と相談してきた(戦ってきた)ほうだと思います。

普通は不妊治療をしてること自体、会社に言いたくない人のほうが大多数でしょう。

また、たとえ退職理由が不妊治療でも、わざわざカミングアウトする人も少ないだろうなと思います。そこは一身上の都合と言えば済む話ですからね。

私の置かれている状況を心配してくれる人の中には、会社との係争に詳しい方に私の案件を相談してくれる人もいました。

そんなにハラスメントの証拠が揃っていれば、会社を訴えれば余裕で勝てる!と味方してくれていましたが、ストレスからうつ病を患っている私には、弁護士を雇って裁判を起こす元気なんてありませんでした。

私が受けたプレマタハラを分類するとセクハラだけでなく、パワハラもありました。

参考まで、ネットでハラスメントの和解金の相場を調べると、セクハラとパワハラの合わせ技でも弁護士費用を差し引くとそんな大金手元に残らないなと思いました。

一方で、心療内科の診断書で休んだため休職中は会社からの手当が4か月、それがなくなると健保からの傷病手当金が出ることになりました。

元々は無給でいいから休職したい!と思っていたため、最初は働いてないのにこんなにもらえるんだと手厚さに驚きました。

在職中、近年メンタル不全で休職になる社員が増えていることを薄々感じていましたが、会社からの手当てがこんなに手厚かったら退職じゃなく休職を選択するのも分かる気がする…と思ってしまいました。

お金がゼロよりは、もらえるほうが助かるのでありがたいことです。

それに裁判を起こすくらいなら、裁判に関わってさらに精神をすり減らすより、黙って休職していたほうが、手当てもあるし、ストレスがない分、良い判断だと思いました。

不妊治療による休職は傷病手当の対象にならないのに、心療内科の診断書が出ると傷病手当の対象になるなんて、なんだかおかしな世の中だなと思います。

体外受精しか道がない人の不妊の原因や治療を、健康保険や傷病手当の対象と認めて欲しいです。

仕事を休めなかったり、金銭的理由などで体外受精を諦める人を救えば、日本の少子化を食い止めることができるかもしれないのにと思います。

でも法律が追いつくのはまだまだ先でしょう。残念ですが、私が不妊治療をしている間に制度が急展開することはないと思います。

現代社会では、不妊治療を受けるカップルが増え続けているので、せめて私より若い世代には良い環境で治療を受けられるようになって欲しいものです。

いつか民間企業では不妊治療のための休職制度が当たり前!となるくらいに支援が広がることを願います。

ABOUT ME
hayachan
33歳で不妊治療クリニックに通い始め、次々と予期せぬ展開へ。34歳で仕事と治療の両立が困難になり泣く泣く休職。治療費は200万円を突破し、35歳で退職。そんなリアルをお伝えします。